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第37回市原高滝湖マラソン 観戦記

トテモカナシカッタコト そして トテモウレシカッタコト


退院から一日。「世間」に戻って、ランナーという種族に大いにがっかりし、またランナーの仲間と会う喜びを感じた。


時計が朝のアラームを告げる前に目が覚める。自分の習性としてはありえない現象だが、さすがに2ヶ月近くの入院生活で養われた習慣はすぐには抜けない。ってか、前の日までいたやん(苦笑)。

夜も明けやらぬ未明に起きる予定にしていたのにはもちろん理由がある。この日は市原高滝湖マラソンの開催日。地元チーム車座のメンバーも多く参加する大会なので、応援に行く予定を立てていたのだ。

そそくさと着替えると外に出て夜明け前の空気を吸う。凛と張り詰めた冷たい微風が頬を撫でるのが痛いようで気持ちいい。待ち侘びた外の空気だ。

それなりに距離があるので両松葉杖を突きながら駅に向かった。市原高滝湖マラソンは3年前に一度参加したことがあるので、現地までのルートは経験済み。乗換えさえ注意すれば問題なく着けるはずだ。

朝方は人が少ないながらも、区間によってはそれなりに人も乗っている。親切な方に席を譲っていただきながら、電車を乗り継いでいった。自分自身、入院前は距離によっては座ることも少なかったが、基本的に必ず率先して席を譲ってこれまでの人生を過ごして来た。それがこういう形で帰ってきているのかなあとも思う。

南下する電車の中から黄金色の朝日を見ながら、久しぶりに会える仲間を思い心がはやる。一歩一歩、また元いた場所に近づいてきてるのだと実感してきた。

JRを乗り継いで五井駅まで来ると、最後は大湊鉄道で始発の五井から高滝まで40分の旅。普段は通学客が主な電車で本数も極端に少ないが、この日は乗車客がほとんど市原高滝湖マラソンの参加者であふれるので臨時便も増発されている。

乗換えの階段を慎重に降りて出発を待つ車両に乗り込んだ。車内はシューズも格好も見るからにほとんどが大会参加のランナーばかりであふれている。一種独特の雰囲気に包まれた空間だ。

車内は八分程度の混み具合。立っている人も多く、当然席は埋まっている。両松葉杖の私は誰か席を譲ってくれる人がいないかと周りを見回した。

ところが誰ひとりとして席を譲ってくれる人はいない。そればかりか目があうと目を伏せて見ないふりをする人も何人か。戸惑っているうちに電車は出発の時間を迎えた。

高滝までは山道でカーブも多い。片方の松葉杖を脇に挟んで必死に吊り革につかまりながら、大海の嵐に揉まれる枯れ葉のように、大きい揺れに必死に抗いながらも翻弄された。それでも身体だけは人一倍健全なはずのランナーみなさんはまったく見て見ぬふり。誰ひとり、立とうとも声をかけようともしない。ちなみにこれはまだレース前の、すべてではないにしてもほとんどがレースに参加するために乗っている元気で健康なランナーの、行きの電車での出来事だ。

なるほど。ランナーのみなさんは人を押しのけてでも自分のタイムを縮めるのが大きな目標だ。40分も揺れる中で、電車で立っていればわずかな差でもライバルにも勝てないし、万全な状態で自己ベストも出せないだろう、他の人が席を譲ればいいだけで、なぜ自分が犠牲にならなければならないんだ。そういう思いもあるのかもしれない。始めから席を譲ってもらおうなどという甘っちょろい考えを持つなら乗るなとさえ言われているようだ。

自分だったらどうするか。答えるまでもない。私を知る人はよく判っていると思うが、率先して席を譲るし、これまでにそういった人生を歩んできた自信はある。

3駅目まで来て約15分。必死に踏ん張っていたが、さすがに危ういバランスも限界に近い。これでこけたりしたら再入院・最悪再手術の可能性もある。次の駅で降りて数時間後のまた座れる可能性も少ない次の電車を待つか。もしくは人をかきわけて床に座るかと、絶望的な状況で次の選択肢を考える。床に座るにしても足を曲げたりひねったりできないので、かなり困った姿勢になる。

その時、かなり遠くに離れた席の男性の方が声をかけてくれる。

「おぉい!こっち来て座んなよ!」

地獄に仏とはこのこと!立っている乗客の方に道を空けてもらいながら、揺れる電車の中を両松葉杖でよろけながら移動する。

「どうもありがとうございます!」

深々と礼をすると2本の松葉杖を重ねて持ち、空けていただいた席に倒れ込むように座った。緊張感がほぐれ、大きな安堵の気持ちが全身を包み込む。

席を譲ってもらわないと何もできないふがいなさ。通常の電車の乗客とは打って変わって、誰ひとり席を譲ってくれない身体だけは健全なランナーたち。彼ら彼女らの善意を宛てにしていた自分。

そんな悲しさや悔しさが胸の中にどっとあふれ、気がついたらボロボロ涙を流してた。自分の感情が押さえ切れず、しばらくはうつむいて身体を震わせることを止めることができなかった。

しばらくして電車が高滝に到着。ランナーたちが立ち上がると、我先にと怒涛のように降りていく。疾きこと、風の如し。数人の乗客を残してがらんどうになった電車の最後を、両松葉杖を突きながらゆっくりと降りた。

なんだか精神的には最悪。すぐにでも帰りたい気分。ランナーという種族への不信感と嫌悪感がこれほど大きくなったのは初めてだった。

そんな気持ちを押し止どめたのが、ラン仲間の存在だった。昨年から今年にかけて、入院中も含めてどれだけ支えてくれたことか。そんな仲間に会うために今日は来たんじゃないか。

気を取り直すと、駅を後にして会場までの道をゆっくりと歩きはじめた。この道の先には仲間がいると思えば2本の足と2本の杖の足取りも自然に軽くなってくる。

間もなく会場に到着。着替え場所である体育館に入って、チーム車座のメンバーを探す。

いた、いた!ちょうど着替えの最中。体育館の一角に陣地をとり、全員走る前の準備で着替えている。と、言ってもランニング・ウェアではない。忍者、お女中、町娘、悪代官、黄門様、バニーガール(ボーイ?)etc.etc... 恒例・劇団車座公演としての市原高滝湖マラソンを舞台とした黄門様ご一行の大仮装大会だ(笑)。これだけ統一感をもった(一部除く(笑))大人数での華やかな仮装は見ているだけで楽しい。くそ~っ、こーゆーの、混ざりたいぞ~(笑)。

泣いたカラスがもう笑う。陣地に近づいたところですぐに発見されて迎撃をうけた。新年のあいさつが乱れ飛ぶ。ただいま!帰ってきました!うれしい気持ちが血となって全身を駆け巡る。

久々の再会のあいさつを済ませると、今回は撮影班助手見習いに早変わり。微力ながらせっかくある撮影スキルを利用しない手はない。ヘボですが。

外は冬晴れでこの上ないいい天気。1月だけあってもちろん肌寒いが、これでも真剣に走れば暑いぐらいに感じるだろう。

まずは10kmが最初のスタートなので、10km組を応援にスタート地点に移動。色とりどりのランナーがスタート地点に並ぶと、走らない自分も現役時代(笑)の記憶を刺激してか、気持ちが少し高ぶってくる。号砲前の緊張の一瞬。そして号砲と共に一斉にスタート。走り去るランナーをうらやましく見ながら、その遠く離れて行く後ろ姿をいつまでも見つめていた。

そして、続いては参加者の多いハーフ。チーム車座、いやさ、劇団車座もこちらの舞台に俳優陣の主力を結集し、新春公演の幕開きを今か今かと待ち構えている。高滝湖マラソン自体、仮装ランナーの数はさほど多くはないだけに、これは目立つよ。目立つ(笑)。それだけに地元メディアも取材攻勢。市長とも一緒に写真を撮っていた(笑)。

ハーフのコースは高滝湖を3周する。ゴール付近では同じランナーを3回目にすることができるコースとなる。まずは号砲と同時にスタートしたランナーを見送ると、想定したラップを元に撮影地点に戻ってくる時間を予測する。うららかな日だまり、きらめく湖面、シャバの空気だ。自由の身だ(笑)。

DSC09202.jpg

しばらくすると、チームの遊軍が1人2人と2周目にはいる。高速グループは本気勝負。そして湖の遠く向こうに浮かぶ小さく見える橋の上に、なにやら色とりどりの集団が移動して行くのが見える。黄門様ご一行だ(笑)。随分と遠くからも一目で判るのは撮影班としてはとてもうれしい(笑)。

hashi.jpg

橋を渡ったご一行は周回コースに曲がって給水を受けると、印籠を取り出して将軍家の御威光を示す。それに応えて畏まる観客(笑)。御威光のあらたかさは健在である。撮影班は例外的に畏まること御無用。なにせ頭を垂れたら撮影ができない(笑)。

ギャラリーにやんややんやとうけながら、高滝湖漫遊記は続く。都合3周回、五里約21kmを走って本日の初舞台、これにて終了!おつかれさまでした。

kmon.jpg

チームの参加者には入賞した人も結構いて、表彰式が終わるまで打上げ参加者は着替えたり、見学したり、屋台に寄ったり。片付けも落ち着いたところで、昼食兼打上げに移動。仲間との会食も本当に久々だ。打上げと新年と退院を祝って乾杯をいただいた後、おいしい食事に舌鼓を打ち、軽くほろ酔い気分になって、すっかり来るまでのことは忘れてしまった。これがやはり一番の元気の元だ~。

五井まで車で送っていただいて、家路につく。いろんなことがあった退院1日目。ひとつだけ間違いなく言えることは、ここに、自分の場所に帰ってこれてよかった。本当に心からそう思った。


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santapapa

Author:santapapa
小さい頃から運動音痴で今までまったく体育系クラブに属した経験がなかったのですが、2007年の2月からipodがきっかけでダイエット目的に走り始めました。だんだん走るのが楽しくなってきた「長~くゆっくり」がモットーのランニング初心者でしたが、故障のため走ることから引退。その後の名医と出会いがきっかけで現在復活のためにリハビリテーション中です。

最初は4km走るのもやっとでしたが、2007年6月にハーフ、2007年9月にフル・マラソンをやっとこさ完走。2008年3月には100kmウルトラを完走し、今はウルトラをメインに、バンド活動の傍らファン・ランを楽しんでます。生活の中で走ることの優先度が低いので、最近はたまにしか走らずリバウンドの兆しが悩みの種。大会参加でモチベーションをあげています。

自己ベストは10km=45:48(第10回記念大会ニューリバーロードレースin八千代 '07.12. 2)、
ハーフ=1:41:50(NET/第13回手賀沼エコマラソン、 '07.10.28)
フル=3:33:30(NET/第56回勝田全国マラソン大会 '08. 1.27)、
ウルトラ=12:34:40(100km/第4回伊豆大島ウルトラランニング '08. 3.29)、
=38:41:42(206km/第3回佐渡島一周エコジャーニーウルトラ遠足 '08. 9.13)。

なお、blog中の仮名は、自ら公開blogでHNをお使いの方以外は個人情報の関係上、原則アルファベットにしていますのでご了承ください。

2009年3月以前の過去アーカイブは旧ブログ『よっこらしょ』を参照。
2010年11月以前の過去アーカイブは旧ブログ『ひょうろくだま』を参照。

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